Ninhursag Ninḫursaĝ

生きづらさの処方箋

はなえみ



Ω 𒀭𒎏𒄯𒊕 _はなえみ Ninhursag Ninḫursaĝ


人々がゆきかう都会は せわしない
だから アタシには 少々しんどい


おそらく街のどこを切りとったとしても
その小口から滲みでてくるものは
もう苦汁でしかない


この街は たぶんこれからだってきっと
喧騒たけだけしく呑まれるがままなんだ


おかげで この深いため息は
くちびるを薄白く曇らせながら
悲観に抗えきれぬ枯葉のように
冷たいアスファルトへと堕ちてゆく


そのアスファルトを見遣れば
花笑が健気にささやいていた


誰のために咲くでもなく
誰のために萎むでもなく


なぜに ここで咲いたの
こんなに無機質で冷たい都会の
こんなに虚しくせつない喧騒に


この子は この子なりに
此処から動かぬと決めたのね
木枯らしと日照に耐えながら
無機質と虚しさに抗う定めをひいた


都会の やさぐれた水は
このうえもなく 苦渋に満ちているけど
キミは ただただ静かにそれを掬ぶのね


それでもなお
何ごともなかったかのように蕾をまとい
また来年の 今日とおなじ この場所で
今日とおなじ 風花をなびかせる
今日とおなじ 花笑をうかべながら


そうか
でも 充たされてるんだね
アタシ
もう少しだけ生きてみようかな

Ω 𒀭𒎏𒄯𒊕 _