Ninhursag Ninḫursaĝ

生きづらさの処方箋

ここに在っていいんだ



Ω 𒀭𒎏𒄯𒊕 _
ここに在っていいんだ Ninhursag Ninḫursaĝ


存在肯定なんだよ
今朝もこうして
眠りから覚めたんだから
それで こうして心臓が打ってて
からだじゅうに血潮がめぐってる


ならば このボクは
今生のいま ここに
まだ存在が許されてるってことだよね


いつか きいたことがある
自然界の営みに
偶然なんてものは ないのかもしれない
発生にも滅失にも理由があるんだって
今朝もこうして 眠りから覚めた
今日もこうして 生かされてる


この今生には 必ずあって
そんなふうに 心に言いきかせて
やっと ギリギリだけれど
なんとか今日も一日 やっていかれる


青空が そこに在るのは
水と大地が そこに在るのは
それには必ずワケがあるんだ


たとえば 空き地に茂る雑草
彼らは 渇いた痩せ地に根を張った
そこから一歩も動かないと決めたんだ


命かぎりの葉っぱをひろげて
カラカラな大地に日陰をもたらした
わずかに潤いが呼ばれた土壌には
虫たちや微生物が集い いとなみ
たくさんの命が育まれる


「雑草という名前の草など
なに一つだってないのです」

こんなふうに 建前を並べたとて
現実世間はそうもいかないじゃないか
雑草は嫌われて 弾かれて
虐げられて 最期には割を食うんだ


雑草が この辺境地に在るからこそ
ようやく育まれる命もある
それなのにもかかわらず
醜いと忌みきらう衆生の傲慢さ


時には 呼吸をすることさえも否定され
在ることすらも認められない不条理
誰かからの野蛮で凶暴な誹謗に
心がズダズダに裂傷したりもする


けれども やっぱり
それでも やっぱり
どんな草にも名前があって
おのおのに自分の在るべき処で
おのおのに預かった定めのなかで
その命を燈し尽くして 今生を全うする


心あるものも 無いものも
それぞれが おのおのに
命の役目を成就してる
その全部でもってようやく組みあがる
宇宙はそうやって今日も一巡りするんだ


だから 一括りにはいかないんだよ
草も木も水も大地も
そしてボクたち人間も
優劣 長短 甲乙 利害 得失
無駄なものなど一切なくて…


もしそれが
大自然の摂理だというのなら
もしそれが
大宇宙の条理だというのなら
ボクの存在だって
肯定されてるってことなんだ
ボクは此処に在って
もう それで許されてるんだよね


汝のこの世に生れたその日
日輪を迎えた惑星のそのときの
星配りそのままに
生れたときの掟に従い
早すくすくと育ってきた
これよりほかに道もなく
おのれを捨てるすべもない
こういうことはその昔
巫女どもが 予言者どもが言うたげな
形を具えてさかえゆく生命は
時にも 力にも 砕かれはしない


存在肯定なんだよ
今朝もこうして
眠りから覚めたんだから
それで こうして心臓が打ってて
からだじゅうに血潮がめぐってる

Ω 𒀭𒎏𒄯𒊕 _