富士になれ 月になれ
Ω 𒀭𒎏𒄯𒊕 _
満月にススキ
鹿にモミジ
柳にツバメ
秋刀魚におろし
ビールに枝豆珍コロにマスク
梅に鶯
梅は百花の魁なりと
その婉美を競っているけれど
根っこを辿れば同じ地べたの連なり
みんな同じひとつなんだよね
個々にべつべつでありながら一つ繋がり
一つ繋がりでありながら個々にべつべつ
それぞれのところで各々が相似であり
そして自然界のこれ丸ごとはゲシュタルト
人間たちも自然界の一員であるのなら
貌をもって人をとるクセは取りさげたい
しょせん眼に映るものなどアテにならず
しょせん頭に浮かぶ浅知恵など陳腐な風船
自分勝手な計らいの中のでの自慰行為
梅を知ろうと念えば 梅になれ
鶯を知ろうと念えば 鶯になれ
それそのものとして成ったとき
ようやく少しだけ深い氣づきをうるもの
富士を知ろうと念えば 富士になれ
月を知ろうと念えば 月になれ
我という滑稽を知ろうと念えば
この上もなきほどの無我になれ
'解らない'とは
'分からない'こと
分からないとは
分け隔てのないこと
分からないことが解ったなら
もうそれで
すべていいのだよ
Ω 𒀭𒎏𒄯𒊕 _